カーフィルムの需要は外観から機能へ
カーフィルムのトレンドは誕生以来ファッション的な要素に重きが置かれていましたが、カーフィルムに対する規制やプライバシーガラスの普及でそのニーズは機能性にシフトしています。近年は特に、スモーク、透明両方で断熱フィルムが主流になっており、夏にはその需要が特に高まる傾向があります。
しかし、断熱フィルムは通年に渡って機能的な効果が高く、その効果を知ることで、夏以外の季節にもカーフィルムの良さが分かるかと思います。
■遮断フィルムと断熱フィルムの区別について
熱エネルギーは厳密には外部からの流入と内部からの流出に分けることができます。前者を遮熱、後者を断熱と呼ぶことができます。夏のヒートカットは本来なら遮熱フィルムと呼ぶことがてきせつかもしれませんが、ここではカーフィルムと呼ぶことで両者を区別することなく断熱フィルムと呼びます。
断熱フィルムの機能と性能の向上
断熱フィルムは、フィルムの濃さとは別に、暑さのもとになる赤外線(IR)を吸収する素材を組み込んだフィルムです。これにより車内への熱の流入を制限し、暑さを軽減することができます。
フィルムの素材としては従来ATO(アンチモンドープ酸化スズ)が広く使われていましたが、素材が有機物である為、経時変化により性能を維持することが困難でした。しかし、現在ではITO(スズドープ酸化インジウム)という無機系の断熱剤が使用されることが増え、経時変化を起こしにくく、安定した断熱効果を発揮できるようになりました。
■ITO
赤外線吸収率の高い金属酸化物であり、可視光領域の透過率が高いため、透明断熱フィルムに適している素材です。また、透明電極としてTVやスマートフォン、タブレットの画面部分、さらには有機ELや太陽光電池にも組み込まれています。
夏以外に断熱フィルムをおすすめする理由
■通年効果的なフィルムの機能性
断熱フィルムはどうしても暑い夏にフォーカスされ、需要も集中しがちです。実際に車内で不快に感じる事の要因では、「日射でジリジリする」、「もわっとする」、「まぶしい」、「ハンドルが熱い」などが上位に挙げられ、夏の需要に拍車をかけています。断熱フィルムには本来こういった夏の不快要素に効果を発揮するフィルムですが、実は年間を通して機能的なメリットが得られることから、夏以外でもフィルムは効果を発揮します。
断熱フィルムを貼ることで車内の温度を一定に保ちやすくなり、ヒーターを使用する時期は暖房効率を上げ、燃費の向上、省エネに貢献することができます。 冬に断熱フィルムを貼っていると、車内が寒くなるのでは?という話があります。暑さの元になる赤外線をカットするので、これは体感的にそう感じられる側面もあるかもしれませんが、太陽光の熱エネルギーを考えるとそうではないことが分かります。 太陽から注がれる熱エネルギーは可視光線が約52%、赤外線が約42%、紫外線が約6%ともいわれています。断熱フィルムで窓からの赤外線をカットしたとしても、熱エネルギーの半分以上は車内に入ってきます。車内の温度は窓からの熱エネルギーの流入に左右されやすいと考えがちですが、一番の要因は外気温によって車のBボディが冷やされることによる影響が大きいものです。また、夜間は太陽の熱エネルギーの恩恵がないので、車内を快適にするには暖房をつけて車内を一定に保つことが通常です。その時に車内の熱が車外に逃げないようにすることが省エネにつながります。燃費向上の役割を果たす一つの手段が断熱フィルムを貼ることだといえます。
通年降り注ぐUVを99%カットできるので、女性ドライバーや子どもを持つ方に安心感を与えることができます。
女性は男性が思う以上に肌には敏感で、「運転中に気になること」というアンケートでは実に7割近くの女性が日焼けを気にしているという結果が出ています。しかし、日焼けという点では実は思ったほど気にする必要はありません。
しかし、素ガラスでは肌にジリジリと感じる不快感は軽減することができず、肌が暑くなってジリジリすること=日焼けと誤解している人が多いという実情もあります。もちろんジリジリ感=日焼けではないことを正しく伝えていくことも大切ですが、暑さとともにジリジリ感を低減させなければ、断熱効果を実感しにくいということになります。
また、フロントガラスのUVカット効果は高くとも、それ以外のリアガラス等はほとんど強化ガラスが使われており、UVカットは完全ではありません。冬の時期はしみやしわの原因となるUVA波は夏に比べると3分の1程度しかないと言われていますが、昔より有害な紫外線が地表に多く届いていたり、女性の美意識の高まりなどから、UVケアを気にされている方にとっては年間を通して断熱フィルムのUVカット効果は特に有効です。